狂言師 小笠原匡

コラム

「蓬莱貴譚」 −人と鬼仲良うやれさ−  (ほうらいきたん)

鼓童研修生に狂言稽古を行うようになり早十年が経ちました。 舞台メンバー半数以上が教え子となり、いつの日か彼らと共に舞台創造が出来たらという夢が、 この「蓬莱貴譚」として実現致しました。

本公演の見どころは、鼓童メンバーに楽器・撥(ばち)等を持たせず、仮面を用い自由な動きを制約させ、 声や身体での表現を強く求めた部分です。今迄に無い新たな鼓童の魅力を引き出す事が出来ればと思っています。

又仮面も狂言面の他、役柄に応じ舞楽面やイタリア半仮面コメディア・デラルテを用いました。

さて、鼓童の本拠地であり、家内の里でもある佐渡は、古より大陸の玄関口であり、先進国との交流が盛んな文化の中心地でした。

大陸から佐渡に漂流したミシハセ人(ツングース族の祖先)を島人達はその姿形から鬼と呼び恐れていましたが、 彼らは島人達に様々な先進文化を伝える事によりやがては島人達と融合します。

そこで主題を鬼と人との共存、つまり異文化コミュニケーションと致しました。

日本の縮図と云われる佐渡の地域性を通して、宗教戦争や民族紛争の絶えない国際社会に対して 一石を投じる思いをも込めたのです。

「蓬莱貴譚」は現代と古代、神話の世界を自在に行き来し、お客様を現実の夢の混交のうちに誘う事でしょう。

随所に散りばめた 「謡・舞・語」 等の狂言様式や、佐渡弁の科白(せりふ)による豊かな地域性、 そして個々のキャラクターに当てはめた佐渡の芸能など、様々な要素をお楽しみ頂ければ幸いです。

「蓬莱貴譚」パンフレット、ご挨拶文より抜粋

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