狂言師 小笠原匡

コラム

ふるさと狂言創作にあたって

この度愛知万博関連企画「ふるさと狂言の世界」として、 市民参加による謡と舞いでつづる新作狂言ミュージカル「ふるさとの四季」を 作・演出・主演させて頂く事と相成りました。

今回で豊田能楽堂企画による市民参加型公演は3度目となり、毎回指導等携わってまいりました。

そもそもは「能楽堂三周年記念狂言会」での「唐人相撲」 (狂言現行曲最大のスペクタクル作品。唐の皇帝一行が日本の相撲取りに次々と襲い掛かり勝負を挑む。 数々のアクロバットや奇妙な歌舞、皇帝一行の唐音(とういん)と呼ばれるデタラメ中国語など。 総勢40数名が繰り広げる秘曲)公演より始まりました。

もちろん本来はプロのみで上演するしきたりのところを、能楽堂が地域の皆様により深い理解を得、 能楽が地元にしっかり根付く事を目的に、市民参加型公演として企画されたのです。 早速応募で集まった市民の方々は、約 3 ヶ月間に及んで狂言の歌や所作の稽古を積み重ねました。 その甲斐あって当日公演は超満員、舞台は大成功をおさめました。

そして第二回目は、地元を題材に地域の方々(市民参加)が繰り広げる「豊田の新作狂言」として、 地元の英雄・大久保彦左衛門を題材に、能楽堂スーパーバイザー・柳沢新治氏が書き下ろした「大久保彦左衛門の夢」 (天下のご意見番として名高い三河武士の鏡・大久保彦左衛門だが、 その晩年は窓際族に追いやられてしまう。その彦左衛門が昔を懐かしみ戦話をしながら居眠りをしてしまい、 そのまま夢の中にタイムスリップしてしまう。)を新作狂言公演致し、これもまた大反響を受けました。

いずれの公演においても、市民参加の皆さんは意欲的に稽古に取り組みました。

我々プロと供に舞台に出演するために、なれない足の痺れなどに耐え・時には扇に弄ばれながらも、 その厳しい研鑽を経て、見事公演を成功させて参りました。

また参加者の中からも、徐々にではありますが狂言愛好者が生まれ、現在では 10 名程の方々が、 毎月 1 回豊田能楽堂で狂言教室を開催して、お稽古を続けています。

そして今回の内容ですが、国内開催は 35 年ぶりである愛知万博に関連し、 日本国内はもとより、万博に訪れる世界各国の方々にも楽しんで頂ける作品になりました。

「ふるさとの四季」と題して、“春夏秋冬”四季の美しさを、日本各地に伝わるお田植神事(田植え歌)を中心に、 狂言歌謡(中世・鎌倉、室町時代の流行歌)をメドレーで、和製・狂言ミュージカル仕立てにて上演致します。

日本を代表するユネスコ世界無形文化遺産である能楽・狂言が、国境や時代を超えて、 自然の持つその豊かさ・美しさを表現し、観客の皆様に感動をもたらす事と信じております。

もちろん市民参加の皆さんの演技も、以前よりもさらにパワー・バージョンともにアップしたものになること疑いありません。

是非とも皆様にご高覧賜りたく、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

(2005年2月 豊田情報誌「Shirabe」vol.19 より)

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