狂言師 小笠原由祠 公式サイト

野村万蔵家を母体とする 「萬狂言」 関西代表 小笠原由祠 (能楽師 和泉流狂言方)のホームページです。
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これからの活動

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『世界の仮面』研究

「能面と狂言面」
●能の歴史や仮面の種類、特徴について

仏教と共に伎楽・雅楽・散楽が伝来

  • 仮面劇の始まりはギリシア劇であったが、神や王・王妃の役を示すのみで表情の類型化はなく、能面の様な積極的な表情を注意深く拭い去ったものでもない
  • 面は彫刻とは違い静止するものではなく、動くものである
  • 伎楽面は喜び怒り等の表現を鋭く類型化している。不必要なものを抜き取り強調せらるべきものを生かし残している。伎楽面に現れる表情は「人」らしさを強調して感じる。顔面における「人」を積極的に強調純粋化。
  • 能面の鬼は人の表情を消極的に徹底。一切の人らしさを消し去ったもの。筋肉の生動が洗い去られている。急死した人の顔面。死相。
  • 能面は役者の手足の動作により豊富極まりない表情を示し始める。笑っている伎楽面は泣くことが出来ないが、死相を示す能面は泣くことも笑うことも出来る。

「優しい翁と怖い翁」
人間的な存在の翁と神に近い存在の尉。翁面と父之尉。父之尉から尉面が出来た。前シテ尉は漁翁・樵翁がほとんどだが、それは翁の出自が山の神・海の神をあらわしているからである。死が近い老人の絶望の想いが隠されている怖い表情の翁と、絶頂の年齢を象徴する優しい表情の翁が、合わせ鏡のようにたがいの姿を映し出している。

・ 翁系統
神仙思想。切り顎、への字型に眼を刳り抜く、
小笠原由祠 作 黒式尉(こくしきじょう) 面
・ 鬼神系統
阿吽一対 宇宙の始まりと終わり、陰と陽、万物の一切を表す
小笠原由祠 作 阿形相 大飛出 面
小笠原由祠 作 吽形相 大癋見 面
善鬼神 荒々しく恐ろしい超人間的な力を持つ神
小笠原由祠 作 顰 面
悪尉 激しく強い老人
小笠原由祠 作 大悪尉 面
・ 尉系統
眉間に一見怒りの要素と思われる緊縮をよせていて、よく神性を示している。
世阿弥「風姿花伝」「物学條々ものまねじょうじょう」「神」の項にも
“此物まねは、鬼懸り(鬼の風情のもの)也。何となく怒れる粧ひあれば、神体によりて(その神の性格によって)鬼懸りにならんも、苦しかるまじ” とある。
小笠原由祠 作 小牛尉 面
・ 男の系統
男神用の仮面からの発想。鎌倉時代の和様男神像がモデル。薬師寺大津皇子彫像。
眉間に神性を示す緊縮があり、神となる事が出来る。
小笠原由祠 作 邯鄲男 面
・ 女の系統
女神像の尊顔から模写した女神用の面。吉野・水分神社の玉依姫彫像。肉付きが豊かで額が広く顎も長い、眼と鼻と口の道具立てが顔の中央に集まり、幼児の顔つきと同じ工夫が施されている。両頰にエクボがみられる。
小笠原由祠 作 若女 面
・ 現代と仮面
翁や鬼神系統が鎌倉時代初期から固定。尉面や男面、女面三系統がその後南北朝前後。
何れも神面である。
世阿弥が出現し、優雅で美しい王朝の人物がシテの曲を作る為に、複式夢幻能を打ち出した。
女面も王朝の優雅で幽玄な女性の仮面としてエクボがなくなる。
室町末期には直面だった曲の為に面が作られるようになる。弱法師・蝉丸・景清・俊寛・喝食
●狂言の歴史や仮面の種類、特徴について

動物面は零落した神々。小道具のように用いる仮面は必要において職業を変える芸能民を表現している。
狂言「節分」と花祭り鬼の共通性。尊く神聖な来訪神が人間に敗北すること自体が、来訪神とそれに扮する特殊な人々に対する賤視との二重性を下敷きにしていた。
能「望月」の宿屋亭主は宿の者である、芸能の専門家であった。獅子舞扮装は犬神人そのままである。

●能面と狂言面の歴史的変遷
●能面と狂言面の彫りの工夫・彩色の秘密などを学ぶ。

 

 

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