狂言師 小笠原由祠 公式サイト

野村万蔵家を母体とする 「萬狂言」 関西代表 小笠原由祠 (能楽師 和泉流狂言方)のホームページです。
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これからの活動

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NEO狂言 (ネオ狂言)

NEO狂言 とは

狂言とは室町時代に誕生した伝統芸能。”能・狂言”を併せて「能楽」と言います。
能が古典的題材(貴族社会)を取り上げ幽玄美の歌舞・悲劇であるのに対して、 狂言は庶民の日常的な出来事を、笑いを通して表現する、科白(せりふ)・喜劇です。

その起源は平安時代に庶民のあいだで栄えた「猿楽」という芸能で、やがて様式化、洗練され、現在の”能・狂言”にいたります。

「NEO狂言」はその過程で失われてしまった(良い意味での)エネルギッシュな姿を再現することを目的とした、様式美にとらわれない、新たな分野の狂言公演です。

【NEO狂言の前身となる過去の取り組み】

Eenen 延年 プロジェクト

コンメディア・デッラルテへの取り組み

事業背景

2006年より「延年プロジェクト」として、狂言の普及・保護・育成を通じた日本の芸術文化の発展に資する様々な活動を行ってきました。その一つが新作狂言です。

新作狂言とは、本来古典芸能である狂言の所作、演技、演出手法を用いて新たに創作する狂言のことです。

狂言は、中世に猿楽から派生して出来た芸能で、同じく猿楽から生まれた能が歌舞を中心とする厳粛な演劇で あるのに対し、科白(せりふ)を中心とする滑稽(こっけい)な演劇であるという性格を持っています。

つまり狂言は「笑い」 を中心とした喜劇であり、世阿弥の時代から、「笑い」とは何か、どうすればより上質な「笑い」を 観客に提供できるのか、伝統を受け継ぐ各流派に於いても、この本質的な問題が追究され続けて現在に至ります。

演出方針

仮面を用いた「新作仮面劇」による普遍的価値の体現

ユネスコ世界無形文化遺産の認定を受けた、我が国が誇る芸術文化 「能楽」。その芸形態における最大の特徴が、仮面劇であると云う点です。 世界各国にも仮面を用いた儀式は数多く現存しますが、それが演劇として昇華し、650年もの間、一度も途絶える事無く現代まで継承されているものは「能楽」以外に例を見ません。

「能楽」で用いられる仮面には「能面」と「狂言面」があります。なぜ人類は「仮面」を創造したのか。世界に残る様々な儀式からは、神々や霊性をはじめとした、自らを超えた存在に置き換えるための最もポピュラーなツールとしての活用が顕著であります。

本来人間はその本能として、常に自分自身を変えていきたいという願望があるといいます。

模倣は最大の賛辞とされるように、憧れる人物に自己を投影し、その人物の仕草や物の考え方、さらに髪型やファッションなどを悉く(ことごとく)真似ているうちに、やがては自己の人格までが変化し、形成されていくのはこの好例といえます。

そして、その対象が人では無く、神々や霊性という超知覚的存在の場合、自己の表情や身体のままで表現する事は不可能であり、結果、仮面や装束(しょうぞく)などが創造されたものとも考えられます。

「能楽」では、仮面の表情をより複雑に表現する為に、喜怒哀楽などの露骨な表現を避け、あえて中間的な表情を用いて表現を極端に抑制し、仮面をつけた演者の強い心を、その仮面を通して訴えかけることで、 多彩な表情表現を可能にする仮面を生み出しました。

「能楽」の面が 芸術的価値の高い理由はここにあります。「能楽」において、仮面は能の専売特許というわけではなく、能ほどの頻度はないにしても、狂言においても現行曲の三割ほどは仮面を用いて演じられます。

では狂言面・能面の違いは何か。能は貴族社会をテーマにした悲劇、狂言は庶民の日常をモチーフにした喜劇であり、自ずとその劇性がそれぞれ面の表情方向に影響を与えています。

狂言面の特徴は能面と等しく中間表情でありながら、その根底に滑稽諧謔(こっけいかいぎゃく)といった笑う心が投影されていなければなりません。一説には、能面打ちが仕事の間の息抜きに、ある気安さ、ゆとりをもって制作し、肩の凝りをほぐしたものが狂言面の最初だとされています。

ユーモアは方向を誤れば俗悪や野卑に転落し、芸術的価値を低下させる危険が多い。一方品位にばかり拘泥(こうでい)すれば能面に転化していまい、違いが見出せなくなる。これは面に限らず狂言の実演においても同様の事がいえます。

事実制作するのは能面よりむしろ狂言面の方が多分に難しく、名品と云われる作品が、能面より極端に数が少ないのもその為かもしれません。

豊かさやゆとり、ユーモアがあり、尚且つ品位を兼ね備える事は、万民が憧れる普遍的価値なのかもしれません。

NEO狂言公演では、様々なジャンルとのコラボレーションを通して、かつて創作した作品もベースにしつつ、新たに再編集した新作仮面劇を制作し、私自身が制作した仮面を多数使用するなどの挑戦的な演出を行います。

仮面をつけることで演者の心情に生まれる変化、演技の深みを感じ取っていただき、仮面劇という形態に託された普遍的価値を体現できればこれに優る喜びはありません。

公演の特徴

出演者は私が所属する九世野村万蔵をはじめとした野村万蔵一門が出演する他、現役のアクション俳優などを起用するなど、今までにない取組みを行います。また、自作の能面を用いた仮面劇として構成するなど、通常の狂言では行われない演出によって、伝統芸能である狂言に潜在する可能性を提示します。

翻案について

昨今「コラボレーション」と銘を打った企画が多数催されており、一口にコラボレーションと申してもその内容、あり方は様々ですが、 狂言と他の伝統芸能を比較上演する事により、それぞれの芸能が持つ様式性を通して、狂言の魅力を新たに見出すことに注力します。

今思い返せば、私自身が過去に手掛けた作品の殆どが、ただただお互いの要素を切り張りしているだけのものや、共通のテーマにもとづきそれぞれの芸能がオムニバス上演したと云うだけのものでした。

NEO狂言では、650年間もの長い年月をかけて伝承され洗練した様式美から離れて、社会風刺性を色濃く持った狂言発生当初の姿の再現を試みます。

狂言台本の中にある社会風刺性をもとに、その内容を大きく書き換え、全ての俳優がそれぞれのジャンル技術・様式を用いつつ、狂言発生時の演技形態に近いと考えられる「コンメディア・デッラルテ」の様式で上演するものです。

文化とは本来人間がその環境に於いて生きていく為の知恵や工夫によって生み出されたものだと考えております。

たとえ何度も繰り返され形が洗練・様式化しても、その本質が変化してはならず、形が変化せず同じ行為を繰り返しながらも、常にその根本から構成し直す事が新たな創造に繋がると信じております。

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2021年11月公演 「八犬伝リターンズ」より

「延年プロジェクト」今までの活動履歴
2006年 12月 

出雲阿国歌舞伎を復元「平成版・阿国歌舞伎」劇作・演出・主演。

2007年 10月 

和太鼓集団「鼓童」と狂言のコラボレーション作品「蓬莱貴譚」を劇作・演出・作曲・主演。ワンアースキャラバン公演として全国にて上演。

2008年 2月 

平家琵琶と狂言のコラボレーション作品「琵琶と狂言の夕べ・平家物語」延年版・平家物語を劇作・演出・主演。

2009年 3月 

人形浄瑠璃文楽と狂言のコラボレーション作品「狂言文楽浪花話」を劇作・演出・主演。

2009年 12月 

イタリア伝統仮面劇・コンメディア デッラルテとのコラボレーション「コメディア合戦イタリアVS日本」企画。新作「TONTO盗人」を劇作・演出・主演

2011年 2月 

イタリア伝統仮面劇・コンメディア デッラルテとのコラボレーション「狂言対コンメディア・デッラルテ」企画。新作「はらきれず」・「異人相撲発気揚々」ニ作を劇作・主演

4月 

コンメディア・デッラルテ研究会発足。コンメディア・デッラルテを学びたいという要望に応え、小笠原匡が中心となって立ち上げ、毎月1回、役者や各種アーティスト、一般の人々が集まり、コンメディア・デッラルテ様式のパフォーマンスやエクセサイズで、 自己解放、自己表現に取り組んでいる。
Facebookページ

11月 

京都国民文化祭・京都国際マンガミュージアムイベントにて「ネオ狂言×マンガ×仮面劇~赤塚不二夫の世界~」と題して、赤塚不二夫ギャグ漫画をコンメディア・デッラルテ様式にて劇作・演出・主演する

2012年 4月 

桃山学院大学客員教授就任。国際教養学部にて春期・秋期通して講義を担当。
桃山学院大学地域連携共同研究プロジェクト「中近世の日本とイタリアにおける仮面喜劇の生成発展と現代的実践について」を立ち上げる。

9月 

イタリア伝統仮面劇・コンメディア デッラルテとのコラボレーション「KYOGEN×COMMEDIA 狂言の起源を探って」主催。新作「うもうて死ぬる」・「健康元年」ニ作を劇作・演出・主演
また、シンポジウム「現代社会と古典喜劇 狂言とコンメディア、デッラルテの出会う所」企画。パネリストとして講演

10月 

桃山学院大学地域連携共同研究プロジェクト「中近世の日本とイタリアにおける仮面喜劇の生成発展と現代的実践について」第一回研究発表でヴェネツィア大学にて「狂言とコンメディア・デッラルテの源流を探る」シンポジウム・WS・デモンストレーションを行う

2013年 4月 

NHK「旅のチカラ 女優・草刈民代コンメディア・デッラルテを学ぶ」番組を企画、演出、コーディネート及び、指導を行う。

9月 

「コンメディア・デッラルテ」WSを大阪にて5日間主催

2014年 3月 

桃山学院大学地域連携共同研究プロジェクト「中近世の日本とイタリアにおける仮面喜劇の生成発展と現代的実践について」第ニ回研究発表でヴェネツィア大学にて「狂言とコンメディア・デッラルテの源流を探る」シンポジウム・WS・公演

10月 

ボローニャ大学にて「狂言とコンメディア・デッラルテの源流を探る」シンポジウム・WS・公演

2015年 2月 

桃山学院大学地域連携共同研究プロジェクト「中近世の日本とイタリアにおける仮面喜劇の生成発展と現代的実践について」第三回研究発表でヴェネツィア大学にて「狂言とコンメディア・デッラルテの源流を探る」シンポジウム・WS・公演

2月 

パリにおいて、フランス木管五重奏ユニット・アルテコンボと狂言のコラボレーション「猿神」を劇作・演出・主演。

3月 

延年にてフレンチバーレスクコメディとのコラボレーション「めらんじぇ」主催。
新作「ムスケット」「シャンピニオン」を劇作・演出・主演
親子の為のクラウンと狂言WS」や「ホスピタルクラウン&ホスピタル狂言」を企画、大阪市・堺市の病院へ笑いを届ける。

2016年 11月 

日伊国交樹立150周年記念として狂言とイタリア仮面劇のコラボレーション企画「コンメディア合戦!!狂言VSイタリア仮面劇」を大阪にてワークショップ、シンポジウム、コラボレーション公演を上演。

12月 

日伊国交樹立150周年記念として狂言とイタリア仮面劇のコラボレーション企画「コンメディア合戦!!狂言VSイタリア仮面劇」を東京にてワークショップ、シンポジウム、コラボレーション公演を上演。

2021年 2月 

能楽界初のオールクロマキー撮影による最新映像を使った狂言公演「国立能楽堂×狂言×VFX 「蝸牛~KAGYU~」 」を企画・構成・主演。見立てによる「作り物」をリアル映像やアニメーションで表現し、狂言の世界観を視覚化する。

11月 

八犬伝リターンズ公演を劇作・演出・主演。新作狂言「八犬伝 伏姫物語」、「八犬伝 犬士列伝壱」、「八犬伝 犬士列伝弐」、「八犬伝 犬士列伝参」4作品を、千葉県袖ケ浦市の袖ヶ浦市民会館 において連続上演。
出演者は野村万蔵一門、現役アクション俳優、オペラ歌手、日本舞踊家などを起用。また、小笠原由祠作の能楽面を用いた仮面劇として構成。

2022年 12月 

赤塚不二夫マンガを新作狂言としてリメイク。京都・岡山・名古屋にて公演予定。

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