「八幡の藪知らず」は、別名「八幡不知森」 [やわたしらずのもり] と呼ばれる竹藪のことで、
千葉県市川市本八幡駅から徒歩5分程の場所に位置しています。
今でこそ、縦横20m程の小さな竹藪ですが、
江戸時代には今の何倍もの広さがあったようです。
そしてすぐ近くには葛飾八幡宮があります。
この「藪知らず」は、「立ち入ってはならない」とする言い伝えが数多く残るいわくつきスポットで、
江戸後期の書物『葛飾記』 [かつしかき] には
「鬱々 [うつうつ] としてその中見え透かず」、
「もし入れば堅 [たちどころ] に駐 [すく] み死して、
出づるものなし」などの記述があります。
「藪知らず」がいつ禁足地(立ち入ってはいけない場所)になったかは定かではなく、
禁足地になった理由も諸説あります。
一説として、将門の近臣と名乗る6人の人物が将門の首を慕って竹藪に入ったが
そのまま土人形となり、雷雨で破壊された後、
訪れる者を崇めるようになったというものがあります。
なお、御伽草子 [おとぎぞうし] 『俵藤太物語』 [たわらとうだものがたり]
では、将門には6人の影武者(7人とする説も存在)がいるとされており、
そこから派生したのではないかと考えられています。